
女性の不妊原因のトップは、“卵管障害”
ここで、女性側の不妊因子についても検討してみましょう。
一般的に不妊検査の三大チェック項目として、卵管の通り具合・排卵の有無・精子の質
があります。このことからもわかるように、不妊の原因として、卵管障害はポピュラーな
ものです。卵管は狭いところでは針ほどの太さしかない細い管で、その構造は極めて繊細
かつ精巧です。卵管のおもな機能は、排卵した卵を取り入れること、卵子を受精の場所に
運ぶこと、受精卵を子宮へ送り届けることの三つです。その卵管が詰まったり、癒着物に
よって通りが悪くなるのが、卵管障害なのです。
まず卵管造影をやる
ですから、不妊検査として卵管を調べない病院はまずありません。調べ方としてはまず
子宮卵管造影法があげられます。これは造影剤を注入して、液が子宮から卵管へ流れて
いく様子をレントゲンで見る方法です。この方法では、左右の卵管が詰まっていないかど
うかの確認ができ、さらに子宮の奇形や筋腫の有無も調べることができます。ただし、実
際には卵管が通っているのに、ちょっとした加減で通っていないように見えることもあるので、診断を確定するにはこの検査だけでは不十分です。
また、痛みがあると聞いてこの方法を敬遠なさる方もいらっしゃるようですが、ベテランの医師が行なえばそれほど痛みは生じないはずです。また、卵管が通っている人ほど圧迫や痛みも少ないので、痛み具合もひとつの判断材料になるでしょう。さらに、これは治療にもなります。検査によって卵管の通りがよくなり、検査後二〜三カ月からは妊娠しやすくなるといわれています。不妊センターでもこの検査のあと妊娠する人をよく見かけます。
卵管通気法と卵管通水法
このほかにも検査と治療を兼用したものとして、卵管通気法と卵管通水法があります。
卵管通気法とは、チューブで二酸化炭素などのガスを送り込んで、卵管内の圧力をグラフ
に描き、収縮性や通りやすさを測定する方法です。このとき、軽い癒着なら、ガスの圧力
ではがれて、管が通ることもあります。
また通水法は、先のふたつの方法で通りが悪かった人に行なうもので、検査というより
は治療法といったほうがよいでしょう。これは子宮口から生理食塩水や副腎皮質ホルモン
液などを入れて、卵管の癒着を防ぐ方法です。しかし、痛みがあるわりには、効果抜群と
いう方法ではないので、長期間この治療法をとるよりは、腹腔鏡検査を受けたり、卵管形
成術を行なったほうがよいと思います。現在では精巧な手術用具が開発されたので、顕微
鏡を見ながら卵管をつないで通すことも可能なのです。
卵管障害には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
まず見逃されやすいのが、“クラミジア感染”という、性病の一種です。セックスなど
によって子宮の入り口にクラミジアという虫が感染すると、それがもとで卵管内に炎症が
起きます。この病気の怖いところは、痛みなどの自覚症状がまったくないために、本人の
知らぬ間に病がどんどん進行してしまうという点です。ですから、気がついたときには、
手術をしなければ手の打ちようがなくなってしまっている場合があります。
一般的な細菌による“骨盤腹膜炎”の場合にも、同じことがいえます。ちなみに、クラ
ミジア感染は不特定多数の男性とセックスした場合にかかりやすく、クラジミア感染症の
患者の約十パーセントがこれにあたります。最近の傾向として、このような原因で感染す
るケースがふえてきているのです。
クラジミアと同様セックスにより感染するもので、珍しいものに“性器結核”がありま
す。結核菌が性交によって卵巣や卵管に移動して感染し、卵管が詰まってしまうケースで
す。
最近ふえているピックアップ障害
また、最近ふえてきている症状としては、“ピックアップ障害”というものもあります
。卵管の一方の先は、卵管采というイソギンチャクのようなびらびらした形状になってま
す。これは、排卵された卵を卵管の中に取り込むときに卵をピックアップする役割をはた
すのですが、癒着しているとピックアップすることができず、卵を取り込めないというこ
とになるのです。さらに、卵管障害の中でたちの悪いものに“子宮内膜症”がありますが
、これについては別の項で詳しくとりあげることにしましょう。
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