
[その2]
A. 歯科では診断治療のためにレントゲン・麻酔・薬剤を使います。これらが問題となるのは胚が着床する排卵から4日以後からです。それまでの卵巣に卵子がある間は抵抗性が高いので影響を受けません。レントゲンは線量が低いので殆ど影響が出ませんが、念のため鉛のエプロンなどで防御する方が賢明でしょう。キシロカインを用いる局所麻酔はショックを起こさない限り大丈夫です。吸入麻酔は避けましょう。鎮痛薬についてはポンタールなどが普通使用されます。これらは頓服使用程度は服用可能ですが最小限にしましょう。抗生剤はセフェム系はOKですが他の種類については注意を要するものがあります。いずれにしても妊娠可能な時期であることを必ず歯科医に告げて注意してもらうことが良いと思います。夫が治療を受ける場合は殆ど影響無しと考えて良いでしょう。
Q.子宮筋腫といわれていますが不妊の原因になりますか?
A. 子宮筋腫には外側にできる漿膜下筋腫と子宮内膜に接してできる粘膜下筋腫があります。大きさでは3cmを越えるものでは漿膜下筋腫でも着床障害の原因となります。粘膜下筋腫は小さいものでも着床を妨げるので要注意です。粘膜下筋腫の方が月経痛や過多月経等の症状が現れやすくなります。最近、経腟超音波装置やMRIの精度が上がって小さい筋腫でも診断が容易となりました。また筋腫は多くの場合多発性でいずれの種類でも3っつ以上ある場合は着床を妨げる可能性があります。この様にできている場所と数によって手術するかどうかを決めますが、手術することによって明らかに妊娠率が上がる場合が多いように感じます。更に子宮筋腫と似たものに子宮腺筋症があります。
Q.体外受精を繰り返していますが妊娠しません。何故でしょうか?
A. 体外受精で妊娠しない場合3通りが考えられます。第一は胚の質が悪いこと。この場合、胚は胞胚という最終段階に達する前に成長をやめてしまいます。第二は孵化しないということ。通常赤ちゃんの細胞は透明帯という殻を破って着床します。殻が分厚くて破れないとき着床に失敗します。これに対してAHA (孵化補助)という方法を河内総合病院では実施しています。第三は子宮内膜が悪い点です。子宮内膜の状態を整えるために黄体ホルモンの投与方法を工夫します。胚を凍結して別の子宮内膜の良い周期に戻すのも一法です。
Q.妊娠5週で赤ちゃんが見えないと言われました。そんなことあるのでしょうか。
A. 週数が正しいとすると普通妊娠5週ではほぼ8割以上に胎嚢が確認できます。もしこれが見えない場合3通りのことが考えられます。一つは妊娠週数が正しく無い場合。最終生理から週数を出すと1、2週間ずれることがあります。二つ目は胎児の成長が遅れている場合。この場合でも一週間くらいの個体差はあります。三番目は子宮外妊娠です。もし妊娠週数が正しく出血もなく6週になって胎嚢が見えなければこの疑いが濃厚になります。これらの診断はすぐにはつかないので何回か超音波検査を繰り返して慎重に検討する必要があります。
Q.体外受精で何故子宮外妊娠が起こるか不思議でなりません。(とらきちさんの質問)
A. 体外受精では胚を子宮に戻します。その胚が卵管口から逆流し卵管に着床すると子宮外妊娠が起こります。考えられる理由は二つ。一つは胚移植の時の圧が強すぎて卵管口から卵管へ進入してしまうということ。この場合私たちは胚移植チューブの先端を一番奥よりかなり手前で止めるなどの工夫をしています。二つ目は卵管に水のたまる卵管水腫などでは何らかの原因で陰圧を生じてしまうという点です。従って卵管に問題のある人にやや子宮外妊娠の発生率が高いと言われています。
Q.黄体化未破裂卵胞といわれましたが?(みるさんの質問)
A. 卵胞は普通その直径が20から25mmとなった時脳からホルモンが出て破裂し排卵が起こります。このホルモンの働きが弱いときあるいは卵胞側の感受性が弱いとき卵胞が破裂せず黄体化して残ります。これを黄体化未破裂卵胞またはLUF(ルフと読みます。)と呼びます。これは排卵誘発などをして卵胞刺激と卵胞破裂作用のバランスが崩れたときに起こるのです。これができると次の周期からの排卵が起こりにくいのです。翌周期休めばたいていは消えてしまいまが、この発生を知らずに更に排卵誘発すると卵巣が腫大してしまうことがあるので早期発見が重要です。また、余りひつこく残るときは穿刺して小さくすることもあります。
Q.体外受精・顕微授精で妊娠した時の注意(ゆうゆさんへのアドバイス・その1)
A. 体外受精・顕微授精で妊娠した時は流産気味になりやすいので次の注意が必要です。まず平常の生活は2カ月はできません。炊事はOKですが掃除機はなるべく止めましょう。階段の登りおりや布団の上げ下ろし、風呂掃除はやめてぐうたら主婦となりましょう。気をつけるポイントは軽い生理痛様腹痛と便秘です。いずれも子宮収縮の前兆です。この時期は便秘しそうになればこまめに緩下剤等を服用してかまいません。とにかく胎児を守るためにできるだけのことをしましょう。万が一ごく少ないピンク色程度の出血でも主治医に頼んで入院させてもらいましょう。少量でも出血するということは、必ず根底に子宮収縮があります。安易に考えないこと。そして「必ずこの子は生まれるはず」と前向きに考えることも重要です。
Q.体外受精・顕微授精で妊娠した時の注意(ゆうゆさんへのアドバイス・その2)
A. 体外受精・顕微授精で妊娠した時の経過は次のようになります。妊娠判定が出て1週間後:妊娠反応が200単位以上に確実に出る。妊娠五週:5ミリ位の胎嚢が見える。妊娠7週:胎児心拍が見える。妊娠9週:胎児の手足が動くのが見える。妊娠10週まで達すると殆ど出産できると考えて良いでしょう。
Q.ポリープだと言われたのですが?(KUMIKOさんの質問)
A. ポリープとは子宮頸管ポリープのことです。大小様々ありますが極めて希に癌性のものがあり念のため取って検査に出して調べます。性交時の出血の原因になったり帯下が増えたりする事があって、妊娠の障害になることもあるので発見されたときは取ってもらった方がよいでしょう。
Q.扁桃炎のために薬を飲んでいます。妊娠に対する影響は?(江美さんの質問)
A. 不妊治療の時に服用する薬剤については、排卵後4日まで即ち、胚の着床までは余り影響無いと考えられています。またそれ以後でも抗生物質ならセフェム系など種類によっては服用できるものもあります。大まかに言って薬剤の種類で気をつける方がよいのは消炎鎮痛剤です。しかし、病気になった時、むやみに薬を恐れ、病気が悪くなってかえって不妊治療が長い間できなくなる人がありますが、これは間違いです。妊娠の可能性を医師に告げて適切な治療をし、早く良くなって治療に戻れるようにする方が得策です。
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