
A. 基礎体温表は体内のホルモンの動きを体温の変動で見るものです。従って、直接の変動を見るわけには行かず体温の測定の仕方や体の調子など様々な要因が介在しています。よく基礎体温表に書いてある見本を見ると、排卵日には体温が下がる典型例が載っています。しかしあのように綺麗なカーブを描くことはごく希です。また、がたがたの体温の人が妊娠し綺麗な形の人が妊娠しないということは良くあります。基礎体温表は低温期と高温期が有るかどうかを見るくらいの単なる目安と考えその上下で一喜一憂することはありません。
Q.5年間治療を続けていますがはかばかしくありません。主治医から人工授精をするように勧められています。なるべくなら自然に妊娠を望みたいのですが。
A. あなたは、人工授精を勧められる前に色々な治療を受けてこられたことと思います。そしてそれでも妊娠しなかったから次の段階に進むことになったのです。なるべく自然にという思いは医師の立場から言っても同じです。しかし5年という不妊期間が次の段階へ行く必要性を物語っています。まず夫婦の間でよく詰めることです。もしご夫婦でもう少し様子を見ようと言う結論ならそれでもかまいません。ただし年齢のことも考慮する必要があります。もし夫婦の結論が出ず迷っているなら勇気を出して受けてみられては如何ですか。Q.卵管造影は痛いと聞きますが本当ですか?
A. よく卵管造影がとても痛い検査であると聞いてくる患者さんがいます。しかし、熟練した医師が行えばこの検査は耐えられないほど痛いものではありません。但し次の場合多少の痛みが伴います。即ち、卵管が狭窄(狭くなっている)している場合、私達は治療的な効果を考えてそこを広げようとすることがあります。この時は少々痛いかも知れませんがほんの数十秒で済みますし十分我慢できる程度の痛みです。また、検査後の妊娠成功例にもたびたび遭遇しますのでとても有益な検査ということができます。
Q.私も主人も特に悪いところはないといわれましたが妊娠しません。どうしてでしょうか。
A. 悪いところが特に無いのに妊娠しない不妊症のことを機能性不妊症といいます。そしてこのジャンルに属する人達が平均して全体の25%いるといわれています。これは、何処も悪いところがないのではなくて悪いところが未だ見つかっていないということなのです。もっと厳しくいえば現在の貧弱な科学では原因を見つけることが出来ないと解釈した方がよいでしょう。よく、悪いところがないといわれると安心してしまって不妊治療を中断する人がいます。これは大間違いです。より大きな原因が深いところに隠れていると判断して更に根気よく原因追究をすべきです。では、分かりにくい原因とはどの様なものがあるでしょうか?一つは精子側の原因です。精子濃度、運動率等が正常でも受精能に問題があって、これが裏に隠れていることがあります。精子学はとても奥が深く未だ人間の精子についてはわかっていないことが殆どなのです。しかしこれらの一部は精子精密機能検査でわかるようになっているのでこれを受けるのも一法でしょう。2番目には軽度の子宮内膜症があります。この病気も謎の部分が多く特に軽いものでは診断がつけにくいものが多いのです。腹腔鏡検査の後機能性不妊の人が妊娠することが多いのはこの点が解決されるためではないかと考えられます。Q.基礎体温の最も低い部分が排卵と聞いているのでその時に性交をもっていますがこれでよいのでしょうか。
A. 体温の最低点が排卵であると広く信じられているようですがこれは誤りです。排卵は最低点の二日前から二日後までに分布しており、最低点が排卵日である人は25%にすぎません。最近では排卵予知のために超音波検査、尿中LH指示薬など科学的方法が開発され排卵日はより詳しくわかるようになっています。Q.主人は仕事が忙しく帰ってきてもすぐ寝てしまいセックスの機会をもつことが困難です。また、性欲も少ないらしく余りしたがりません。私は子供が欲しく困っているのですが。
A. 最近は社会事情も複雑で男性のストレスも多いのでしょうか、この様なご質問が目立ちます。うまくセックスの機会をもつことが出来ない場合次の3種類が考えられます。まず、仕事が忙しすぎて疲れている。この場合は生活設計を子造りに向くように考える必要があります。次は、性欲が少ない。この場合には先天的に下垂体ホルモン等の分泌が少ない、性腺の発達が悪いなどの原因があるかもしれません。専門医の診察が必要でしょう。また、この場合精子無力症など精子そのものの性状が悪いこともありますので早急に精液検査の必要があります。こういった原因が見つからないときには漢方薬が有効なこともあります。最後に勃起不全や射精不全などセックスが成功しない場合です。これには何処かが悪い器質性のものとストレス性のものが考えられます。ストレス性のものでは、自律訓練法や気功など身体をゆるめる方法やイメージトレーニング等が有効なことがあります。余りすぐに解決できそうもないときには、私たちの不妊センターでは積極的に人工授精をすすめます。人工授精という別の逃げ道があると、かえってリラックスしてセックスに臨むことができ成功する場合があるからです。しかし、この部分はとてもプライベートな部分なので個々の対応が必要であることも否めません。
Q.体外受精を受けようと思っているのですが今までに手術などを受けたことが無く、どちらかというと神経質な方なので、痛くないかがとても心配で悩んでいます。
A. 全く病気もしたことがない人が未知の治療を受けるとき、もっともな心配だと思います。体外受精で痛みを伴う部分は採卵の時だけです。しかしこの時も簡単な静脈麻酔(注射をして薬剤を入れる)だけで痛みを感ずることなく終わることができます。胚移植の時も痛みはありません。TMET法と言う特殊な移植法を用いるときは少し痛みを伴いますがこれもほんの一瞬です。これら以外では筋肉注射の時の痛みくらいです。今は医学が進んでいて痛みを我慢して治療を受ける時代ではありません。体外受精でも同じことなのでご安心下さい。
Q.朝九時から五時までの仕事に就いています。事務職です。これから不妊治療を始めたいのですが仕事を辞めた法がよいでしょうか?
A. 私たちの不妊センターでは午前中午後と日中に診療をしています。夜の診療はありません。従って治療を受けようと思うとある程度職場の理解が必要です。一般治療では月に2、3回の来院ですみますので殆どの方はそのままで治療続行可能です。また病院でも仕事の都合を配慮することができます。最初から、「仕事を辞めて治療に専念するぞ!」という方針は余り感心しません。気合いの入れすぎは身体や心が緊張する元です。不妊治療の原則はできるだけ夫婦ともに自分の生活を変えないで行くという方がよいと思います。年令等の条件が許すならまず6ヶ月は仕事を続けながら治療してみる。そして、より頻回の受診を必要とする場合は仕事の方を縮小して行くと言うやり方でよいと思います。
Q.仕事で続けられないので受胎気功は月一回でも効果がありますか。
A. 受胎気功は内気功です。内気功では自分で体の中の気を動かして訓練します。従って月一回のトレーニングでも自宅で地道にやれば効果は上がります。基本はリラックスですから、自律訓練法など他の方法でもかまいません。毎日少しづつ行うことが大事です。現在河内総合病院で実施していますが参加者が多く院外の方は受けることができません。ただし見学は自由です。またCD等もご利用ください。
Q.クラミジア感染は不妊と関係ありますか?
A. クラミジアはクラミジア・トラコマティスを原因とする感染症です。女性ではほとんど無症状で経過することが多く知らぬ間に感染していることが殆どです。この菌はまず子宮の入り口(子宮頸管)に住みつき、やがて上へ上がって卵管の癒着をもたらします。ですからこの病気は不妊と大いに関係があります。クラミジアによる卵管閉塞は卵管全体にわたることが多く手術で修復しにくい特徴があり、体外受精の適応になることが多いです。
Q.二度流産しました。次の妊娠によいアドバイスは?(miyuさんより)
A. 流産の原因の40%は胎児側の因子、例えば染色体異常など、といわれています。それ以外は母体側の原因です。いわゆる不育症というやつです。それを大きく分けると免疫的なものと子宮因子になります。胎児側の因子については予防法がないので母体側の因子について予防ができます。免疫因子については幾種類かの検査がありこの方面の治療は相当進んでいます。子宮因子については徹底した安静と子宮収縮抑制剤がかなり有効です。
Q.精巣上体・精巣精子採取顕微授精の費用は?(mmさん)
A. 病院によって違うと思いますので平均的なところをいいます。男性の入院(2、3日)と手術料を合わせて25万円。女性側の体外受精費用が30から40万円(排卵誘発剤を含めて)。顕微授精費用が10万円。全体で65から75万円位です。途中キャンセルの場合その段階までの費用となり安くなります。二回目以降も同じ値段です。実施前に精巣の生検を受けて精子の存在を確認する方が無難です。妊娠するか否かは精子の質にかかっています。従って精子の善し悪しで受精率は様々です。最近ではICSIの登場で受精率が大幅に上がっています。もちろん妊娠例も増えています。
Q.漢方治療について教えてください。(MINAMIさん)
A. 不妊症に漢方薬を使うのは日本と中国だけでしょう。うまく使うと漢方薬は結構効果があります。女性も男性も気のめぐりが悪く妊娠しにくい人があります。このようなとき当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散などが有効です。男性不妊症では精子無力症、乏精子症に有効なものがあります。補中益気湯は直接効果があり精子に混ぜると運動率が上昇します。河内総合病院の研究でこれら種々の効果が確かめられています。(河内総合病院の研究を参照)胃に負担がかかるものがあるので胃の弱い人は注意してください。
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