| 海の香り 海が近くにある街を訪れると、海の香りを感じることが出来る。 海の香りが街中に充満しているのだ。 たとえ、その街がどこにあるのか分からなくても、海の近くにあることだけは香りで分かる。 私は海の香りが好きだ。 その香りは、磯や魚のにおいではない。 海に存在する全てのものが配合された不思議な香りだ。 厳密に云えば、私は初春、ヤシの木が生い茂る海岸に立ち上る香りが好きだ。 ヤシの木と海の香りの絶妙なコンビネーションは、疲れ切った心身をゆっくりと落ち着かせてくれる。 海のエネルギーが大気中に発散していて、決して人口的には作る事ができない香りを作り出している。 そこで、私は現代化学で証明できる範囲で、海の空気を4つに分けて分析してみた。 @ 海の香りは少し潮のにおいがすることからも推測できると思うが、海水に含まれている塩分は、海塩粒子となって空気中に舞い上がっている。 海塩粒子はカルシウム、マグネシウムなどの栄養素を多く含んでいるため、皮膚の表面に付着したり、肺から体内に入ったりと作用する。 私が感じる海の香りの大半は、この海塩粒子からきているのだ。 海塩粒子が嗅覚を刺激し、視床下部に働きかけてリラックス効果をもたらすと考えられる。 A 海塩粒子を含んだ空気は、陰イオン化されている為、海の空気は、副交感神経を優位にして睡眠、沈静、血圧降下、呼吸鎮静作用などをもたらすと云われている。 B コンブが生い茂る沿岸部の空気には、コンブの表層細胞から発散されるヨードが新陳代謝を助け、血液の循環を活発にさせる働きがある。 さらにヨードは、甲状腺ホルモン不足と肥満の治療にも用いられ、優れた治療効果が期待できる。 C 海の空気の大きな特徴として、微生物や病原菌、アレルゲンなどの浮遊生物が含まれていないということが挙げられる。 これらの理由から、海岸の比較的温和な刺激性気候と結びついて、海岸付近は、神経症や喘息などの療養・保養地として注目されている。 海の空気一つを取っても研究の余地が広範囲が多分にあり、化学的に証明することは困難である。 海の空気や気候などを治療目的で利用したタラソテラピー(海洋治療)は非常に奥深いのだ。 私は海の環境というのは、胎児が母の体内で過ごす環境ととても類似していることから、海洋療法と生物の進化過程には、深い関わりがあるのではないかと予測する。 私たちは、胎児の時に進化の過程を一週間あまりで繰り返すが、なぜ進化した生物が、なぜ今更海から生まれた軌跡を辿るのだろう。 いずれにしても、海の香りが心身などを対象とした治療目的で使用される日は近いだろう。 |